DIALOG IN THE DARK に行ってきました


かねてから興味があった「DIALOG IN THE DARK」に行ってきました。いったいどういうものなのか簡単に言うと、8人パーティーで挑む90分の真っ暗闇体験ツアーです。場所は東京メトロ銀座線の外苑前駅から下りて徒歩10分弱の神宮前。

受付で身分証明書を提示して出発時間までロビーに待機。この間にロッカーに小銭以外の全ての荷物を入れておきます。必要無いのでメガネも。


8人以下のグループで、白杖視覚障害者の方が持つ白い杖です)についての説明を受け、まずは薄暗い部屋に入ります。簡単な自己紹介を行い、アテンドと呼ばれる視覚障害者の方の引率でついに真っ暗闇の世界へ。

完全に光が遮断されているので、深夜の山奥とか、目隠しとは全く状況が異なります。何も見えません。何も見えないのはどういうことかというと、視覚情報がゼロなので、目を閉じても開いても黒一色で変化無し。これは新鮮な体験でした。

目の前2cmに壁があるのか10m先まで空間があるのか全く判断がつきません。杖で探りながら、手の甲(手のひらよりもソフトになるため)で周囲をさぐりながら、おっかなびっくり進んでいくことになります。


音や香り、感触など、視覚以外の様々な感覚に集中して進んでいくことになるのですが、何がありがたいかというと、声でした。誰かが声を出してくれることで、方向や距離感の手がかりがつかめます。おそらく声が無ければ一歩も進めないでしょう。気付いたら自分も普段の人見知りフィルターを外して積極的に声を出していました。なるほど、だから「DIALOG IN THE DARK」なんですね。
※DIALOG=対話

途中、暗闇の中で自分の腕の輪郭がうっすら見えたような気がしたのですが、他の人や周囲の風景は相変わらず全く見えなかったので、おそらく脳内で情報を補完した結果の幻視だったのでしょう。人間って面白!

また、アテンドの方が参加者の名前と声を紐付けて瞬時に記憶していることや、何も見えない世界の中での空間把握能力には驚かされました。参加者の「なんでわかるの!?」という驚きの声に対しては「なんとなく(・ω・)」と。


30分ほど経過したと思われた時、真っ暗闇のバーへ。手探りで椅子を触り、座ります。この頃になると参加者の誰がどこに座っているのかが、おしゃべりしている声でなんとなくわかってきます。視覚以外で周囲を把握することに少し慣れてきたのかもしれません。お店の注文を取りに来るお兄さんは、真っ暗闇の中でてきぱきと仕事をこなしていきます。参加者が床に落とした100円王を真っ暗闇の中でさっと拾うことができるのは視覚に頼り切っている我々からすれば驚きしかありません。

飲み物が行き渡ったところで、周囲の人達へグラスを持った手を伸ばして、乾杯を試みます。「かんぱ〜い!」上手く当たって『チーン☆』という音がしただけですごく嬉しく思えます。
冷えたビールと、おつまみを暗闇の中で味わいました。自分の咀嚼音がうるさいほど感じられますw 美味しかった。

後で知ったのですが、真っ暗闇の喫茶店に到達したのは入ってから30分後だと思っていたのですが、実際は1時間ほど経過した頃だったそうです。声や感触に集中してゆっくりと進んでいたために、あっという間に時間が過ぎていたのでしょう。


暗闇の中で最初は不安しか無かったのですが、終盤にはもっとあちこちさまよってみたいと自然に思えるようになりました。もしかしたら発見するという体験は人間にとって快楽なのかもしれません。


非常に感覚的な体験なので上手く伝えることができませんが、見えなくなることで見えてくるものがありました。体験者にはリピーターが多く、周囲にお勧めしたくなるという話も素直に頷けます。とにかく新鮮で興味深い体験でした。

DIALOG IN THE DARK」を上手く説明できないのは、感じ取ることや実感することが人によって微妙に違うからなのかもしれません。

季節毎に暗闇の中での体験内容が変わるようなので、またいつか体験したいと思います。興味がある方はぜひどうぞ。


DIALOG IN THE DARK